第1回日本ファイナンス学会研究奨励賞
長年にわたり、 特別賛助会員として日本ファイナンス学会の活動を支援されてきた丸淳子氏からの申し出をうけて、2013年度に「丸淳子研究奨励賞」が設置され、2022年度の第10回まで授与してきました。
このたび同賞を「日本ファイナンス学会研究奨励賞」として衣更えし、2023年度が第1回となります。
受賞対象は概ね45歳以下の日本ファイナンス学会正会員であり、選考時点から過去3年程度においてInternational Review of Finance、「現代ファイナンス」、および海外において発行された学術誌等に優れた論文・著作を公刊された方に贈られます。
第1回となる本年度については、審査委員会による厳正な審査の結果、次の論文を発表された田園氏(龍谷大学経済学部准教授)を受賞者として決定いたしました。
第1回日本ファイナンス学会研究奨励賞受賞対象論文
“Investment, Payout, and Cash Management under Risk and Ambiguity,” Journal of Banking and Finance, 141, 106551.
- 〈推薦理由〉
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曖昧さ回避が企業の現金保有(同等な意味として配当閾値)意思決定に与える影響を考察した理論研究である。特に、曖昧さ回避が配当閾値に与える影響は非単調であり、U字型を描くことを示した点が新しい貢献と言える。実証研究においては、曖昧さ回避が企業の現金保有に与える影響に関して意見が分かれているが、この意見の相違がこの非単調性に起因するものである可能性が示唆されており、学術的にも興味深い示唆が得られている。また、田園氏はこの論文以外にも着実に業績を挙げており、研究奨励賞に相応しい。
以上の理由により、本論文の著者である田園氏を、本年度の日本ファイナンス学会研究奨励賞の受賞者として推薦する。
(日本ファイナンス学会2023年度研究奨励賞審査委員会)
- 委員長
- 本多俊毅
- 委員
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- 秋吉史夫
- 太田 亘
- 大野早苗
- 小倉義明
- 鈴木一功
- 高見澤秀幸
- 西出勝正