学会誌のご紹介

現代ファイナンス/No.26

論文名

習慣形成を考慮した消費資産価格モデルの実証研究:バリュー効果への応用

執筆者名

山根 明子/福田 祐一

詳 細  
No,1/2009-09
開始ページ:p3
終了ページ:p23

習慣形成を考慮した消費資産価格モデルの実証研究:バリュー効果への応用
山根 明子(大阪大学大学院経済学研究科)
福田 祐一(大阪大学大学院経済学研究科)

本稿では,バリュー株ポートフォリオとグロース株ポートフォリオの収益率の変動が,習慣形成を考慮した消費資産価格モデルで説明できるかどうか分析を行った.GMM,ハンセン=ジャガナサン境界,ハンセン=ジャガナサン距離を用いて分析した結果,単純な消費資産価格モデル,マクロ変数をファクターとするマルチファクターモデルに比べ,どちらのポートフォリオ収益率に対しても習慣形成を考慮したモデルの説明力が高いことが明らかになった.

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論文名

公的年金における資産・負債管理と積立金運用

執筆者名

本多 俊毅

詳 細  
No,2/2009-09
開始ページ:p25
終了ページ:p47

公的年金における資産・負債管理と積立金運用
本多 俊毅(一橋大学大学院国際企業戦略研究科)

本稿では,日本の公的年金制度を題材に,年金基金におけるALMと積立金運用のあり方について検討する.日本の公的年金制度の財政収支においては,賃金上昇率の動向が重要な役割を果たす.賃金上昇率と長期金利の関係をマクロ経済モデルを用いて分析すると,後者が前者を安定的に上回るのは,日本経済が長期的に成長し続けるという楽観的な期待が形成されている場合であることがわかる.また,給付削減のためのマクロ経済スライド調整にはオプション性が内包されており,そのオプションが行使されて給付削減が先送りされるときには資産収益率も低迷する可能性が高く,年金財政にとっては複合的な悪化要因となる可能性がある.これらは,積立金運用の方針を定める際に検討するべき重要な課題と考えられる.

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論文名

バイアウト・ファンドによる買収のインパクトに関する分析

執筆者名

野瀬 義明/伊藤 彰敏

詳 細  
No,3/2009-09
開始ページ:p49
終了ページ:p66

バイアウト・ファンドによる買収のインパクトに関する分析
野瀬 義明(大和SMBCキャピタル株式会社)
伊藤 彰敏(一橋大学大学院国際企業戦略研究科)

本研究の目的は,我が国においてバイアウト・ファンドが行った買収案件を対象に,買収が対象企業ならびに対象企業の株主価値にもたらした影響について分析することである.本研究では,非公開化型(=LBO)と公開維持型という異なる投資形態を互いに比較することで,バイアウト・ファンドの投資判断ならびに買収の効果を実証的に把握することを目的とする.標準的なイベントスタディを行ったところ,買収のアナウンス時における累積超過リターン(CAR)は有意に正であり,非公開化型の超過リターンが公開維持型のCARを上回ることも観測された.またバイアウト・ファンドが非公開化型での買収を選択する場合,利子の節税効果と株価のアンダーバリューに着目していることが示唆された.CARの源泉についての分析では,正の超過リターンはアンダーバリューの解消,エイジェンシー・コストの削減によってもたらされるという実証結果を得た.

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